スペイン坂でタイムスリップ

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Photo by taka (31MR)

とても久し振りに渋谷に行くことがあって、スペイン坂の上の辺りで、ぼんやりと人の流れを見ていた。通り過ぎる人たちは、ほとんど、ぼくよりもずっと若い人たち。そのせいか、ぼくが、彼ら彼女らと同年代だった頃のことを思い出して、体験を重ねていた。

あの頃の渋谷は、今よりも落ち着いたイメージだったように思う。垢ぬけない池袋や、喧騒の新宿歌舞伎町に比べれば、渋谷、表参道、原宿、青山と、とてもクールな感じがしていた。今は、全然、そんなことは思わないけれど、当時は、他よりも上品な街であると思っていた。

そうだ、あの頃、ぼくは、渋谷という街がとても好きだった。東京の中でもっとも好きな場所は?と訊かれたら、渋谷、原宿、表参道の界隈と答えていたと思う。

大学を辞めて、しばらくぶらぶらしていたけれど、そろそろ就職しないとヤバイ、と思ったときも、ぼくは、渋谷の会社に面接に行った。就職先は、どんなに小さな会社でも構わないが、仕事はソフトウェアで、渋谷にある会社と決めていた。渋谷で働きたかったのである。

あれは、クリスマス前の時期、付き合っていた彼女に贈るプレゼントを買おうと、東急ハンズ渋谷店まで行くついでに、せっかくだからと、南口の歩道橋を渡った先の小さなソフト会社の面接を受けて、採用されたのであった。

もうそんなことはすっかり忘れていたけれど、今日、そういえば、と、思い出しながら、とても懐かしい想いがした。

当時のぼくは、渋谷が自分の庭だと思っていた。隅々まで知っている、とは言わないけれど、とても落ち着く街だった。

でも、今は、自分の生きる世界とは違う次元の何かのように感じる。もちろん、庭だという感覚はまったくないし、落ち着く街でもない。少しだけなら、物珍しさで、楽しいけれど、長くいると疲れてしまう空間だ。

だけど、面白いもので、それだけ違和感を感じても、ふと、今の仕事場のことを思い出し、比べてみると、なんだか、渋谷に感じるものの方が、まだ自分に近い気がした。

ということは、今の仕事場(というかぼくのいる社会)というものが、どれだけ自分とギャップがあるか、ということなのだと思う。

もちろん、選択の自由があるのならば、ぼくはどちらも選ばず、違う居場所を探すけれど。


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