お祭りの後は寂しいね、とあの娘は言った

photo by taka (ip11)

夏の終わりと秋の始まりが混ざりあう今の季節は、過去の様々な記憶が圧縮されて出来ているように思える。若い頃は、その感覚が気持ちの落ち込みのように思え、不吉にさえ感じる苦手な季節だったけれど、今はそうでもない。懐古主義と言われようが、懐かしさの中に身も心もおいて楽しめる余裕が出来たのかもしれない。

かんかん照りの高校野球、土砂降りの夕立とすれ違いの駅前。打ち上げ花火、夏祭りに浴衣。幻の松原、波打ち際のワンピース、真夜中のキス。

あの娘が言った「お祭りの後は寂しいね」という言葉が、忘れられない。居酒屋のカウンターのレモン酎ハイ。こんなことなら、離さなければよかった。調子に乗っていた。いつも、自分のことしか考えていなかったことが、今なら自覚出来るし、悔やまれるけれど、なにもかもそれは思い出のこと。

記憶のかけらは、粉々になってぼくの後ろに積み上がっている。つい振り返ると崩れ落ちそうで怖いぐらいだ。専用の焼却炉を作って少しずつ燃やしてしまわないと、その時までに、間に合わなくなるかもしれない。


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