マリア

写真 (3)

輪廻転生。

世界の国々のなかには、それはもう自明の理であるところもあるでしょう。

日本でも、以前に比べると、人々のあいだで普通に話されることが多くなってきたように思います。

ブライアン・L・ワイス氏の「前世療法」は、多くに人に読まれているし、実際にヒプノセラピーの一環として、

それを行うセラピストも増えているとも聞きます。

 

数年前、街なかの歩道を歩いていたとき、誰かに「マリア」と呼ばれた気がしました。

きょろきょろと、その声の主を思わず探してしまうほど、それははっきりと聞こえました。

しかし不思議なことに、その声を受け取ったのは耳ではなく、胸のあたりでした。

確かな感覚はあるのに、わけがわからない。

同じような感覚になったことが、それからも何度かありました。

本当にわたしのこと? それともわたしのうしろにマリアという守護霊さまでもいる?

どちらにしろ怖い感じはしませんでした。とはいえ、こんな非科学的なことを人にお話しするのもはばかられて、それ以来、わたしはマリアの謎をひとり静かに抱えたまま、日々暮らしていました。

 

思いがけないところでマリアに出会ったのは、それから数年後、今年の春のことです。

おともだちに勧められて、ある方の個人セッションを受けることになりました。

特に質問したいこともなく、暢気にお話をうかがっていたとき、

「以前(おそらく前世のこと)、お会いしたことがありますよね。」と、そのかたが微笑みながらおっしゃいました。

能天気な私は、「そうですか。その節はお世話になりました。」なんてジョークっぽく応えていましたら、

 

「あなたの洗礼名は、『マリア』でしたね。」

 

なにかが、ストンと落ちました。

信じるとか信じないとかではなく、今までなんとなく居心地わるく落ち着かなかったものが、居場所を見つけてきれいに納まった感じがしました。

 

いつかわたしは、わたしのなかのマリアを思い出すときがくるでしょうか。