待っても待っても – NSP

あの頃のぼくは、好きな女の子がいても
恋が実ることもなく、悶々と過ごしていた。

ぼくの少年時代は、スポーツが得意な男の子が
モテることになっていた気がする。

例えば、野球部の生徒なんかは、モテモテだった。

ぼくの場合、好きな女の子ととても仲良くなったりするんだけど
(それこそ交換日記しちゃうぐらいに)
決して恋仲になることはなく、逆に好きな男の子についての
恋の相談なんかされちゃったりしてた。

NSPの「待っても待っても」に出てくる男の子も
多分あんまりモテない部類で女の子のことも知らない感じ。

長い髪の女の子を好きになって
なんとか電話で誘ったんだけど
結局、待ち合わせ場所に現れない、みたいな展開の歌だ。

女の子を喜ばせようと、庭に咲いていた赤い花を摘んだりして
ドキドキしながら待っている男の子の純な気持ちが痛々しい。

ぼくが好きだった子も、髪が長かった。
小さくて細くて、よく笑う子だった。

一緒にいると楽しくて仕方がなかった。
最初は単なる友達としか思ってなかったけれど
確か、ある日、彼女の夢をみて、
その日から、一気に恋におちた記憶がある。

好きで好きでたまらなかった。
(若いから、すぐに一途になる)

しかし、彼女がぼくを男性として好きになることはなく
従ってぼくの恋が実ることもなかったのである。

この歌を聴くと、彼女を思い出す。

歌のような体験を彼女としたわけじゃないけれど
好きだった時代と聴いた時代が重なってるからだろう。

ただ、寂しい気持ちになったりはしない。
懐かしさと、彼女を好きになってよかったという想いが溢れる感じ。

成人してからの同窓会で彼女と話したことがある。
そのときも少年時代のときと同じように楽しくて仕方なかった。

もう実家がなくなってしまったことと
新型コロナ騒動が重なり、しばらく故郷に行けてないんだけど
彼女は元気にしてるだろうか。