母校と仮設住宅

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Photo by taka (7D)

先日、帰省したとき、実家の庭に出て、ぼんやりしてたときのこと。空を見上げたら、見事な雲の調和につられて、散歩がしたくなった。もちろん、すぐにカメラを抱えて、ぼくは歩きだした。

写真は、ぼくの母校(小学校)である。見ればわかるけれど、まだ出来たばかりのピカピカの校舎である。もちろん、この校舎は、ぼくの通ってた頃の建物を取り壊して建て替えたものだ。確か、震災の直前に建て替えたのだったと思う。

それから、右手に写ってる青い屋根の建物は仮設住宅である。東日本大震災で被災された方のため、校庭を利用して建築されたものだ。震災当時は、ここに自衛隊のキャンプも設営され、水の補給やお風呂、食事などの救援が行われていた。

あの頃に比べれば、落ち着きを取り戻したように見えるけれど、震災前の状態に比べたら、全然違う。震災前の状態に戻るためには、どれだけの年月がかかるのだろう。そして、実際には、震災前の状態に戻ることは、出来ない。ぼくらは本当に多くのものを失ってしまったのだ。

新しい校舎と仮設住宅の間を、ゆっくりと歩きながら、ぼくは、故郷の空気を思い切り吸い込んだ。そうすることが何かの供養になる気がしたからだ。そして、震災後、ずっと思っていたことを、ここでも思いだした。

震災直後、ぼくは、ここに駆け付けることも出来たはずなのに、そうしなかった。そのことは、ぼくの中で負い目になっている。ぼくが実際に帰省したのは2カ月近く経過したGWの頃だった。

実際、あの頃は、新幹線も高速道路も使えず、原発の状態も穏やかでなく、ぼくは、ぼくの家を守るためにせいいっぱいだったようにも思う。いつ原発が爆発しても避難出来るように、常に細心の注意をしながら生きていた。

母親の無事も確認出来ていたこともあり、少し様子を見てから行動しようと考えていた部分もある。

だが、そんな風に理由を並べたところで、ただただ言い訳をしているようにしかみえない。車があるのだから、来ようと思えば来れたはずだ。そう考えると、ますます負い目の気持ちは大きくなる。

だったら、せめて今からでも、何か故郷のために出来ることがあるのでは?と自問自答しながらも、ぼくは何一つ、出来ていない。自分のことでせいいっぱいと言いながら、自分勝手に生きているだけである。

そんなような、いつも考えることを、ここでも考えながら、ぼくはこの写真を撮影した。


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