ラブレター
投稿:2013年11月4日
更新:2015年3月22日
Photo by taka (7D)
帰省の途中、岩手県に入り、高速を降りた後、そのまま懐かしの街を通り過ぎることが出来ずに、道端に車を停めて、しばし感傷に浸ったりする。春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の想い出があり、例えば、今の季節なら、写真のような紅葉の木々に囲まれながら、思い切り深呼吸して、ひんやりとした空気の質感を身体中で捉えると、秋の匂いとともに、焚き火のそばで想い出話をしているような気分になる。
人それぞれ、いろいろな人生があり、想い出がある。想い出がひとつの塊だとしたら、塊の材料は、様々な種類の想い出ということになるだろうか。従って、材料の配分を調べると、その人の人生の傾向が、ぼんやりとわかりそうだ。仕事中心の人、家族中心の人、趣味中心の人。
ぼくの魂の材料は何で出来ているだろう。仕事ではなさそうだ。家族の割合もそれほど多くはないと思う。うーん、それはもしかすると、恋かもね(笑)
おっさんが、恥ずかしげもなく「恋」で出来ています、なんて、よく言うよ!と、自分で書きながら、本気でそう思っているのだけれど、惚れっぽいぼくは、今まで、人よりも多めの恋をして生きて来たような気がする。それも、叶わぬ恋ばかり。ぼくが我に返って、ふと後ろを振り向くと、そこには、ぼくが過去にして来た恋の残骸が、貝塚の貝のようにカケラになって山積みされていると思われる(笑)
恋をしたとき、すぐに想いが叶う人には、多分、わからないと思うけれど、片想いというのは、本当に恋が砕けて、残骸になるのだ。しかも、残骸は、徐々に細かく砕けて消えてしまえばいいのだが、消えない。基本的には、ずっと残るのである。そして、更地だったところに、少しずつ堆積し、気が付くと小高い丘のようになっている。
この残骸たちは、ほっとけば消えず、しかも、何かあるたびに雪崩のように崩れて、心をかき乱して困るのだが、実は、消す方法がある。まあ、それについては、また別の機会に書くとして。
ぼくの場合は、片想いから始まり、片想いで終わることがほとんどだった。
片想いでも、なんとなく憧れの存在がいて、ほのぼのと想っているうちはいいのだが、想いが成長し、相手を欲するようになると、なかなか大変だ。想いは通じず、願いは叶わず、打ちひしがれて一日が終わる。寂しさ、辛さから、あまりの辛さに、そんな恋を忘れようと思う心が生まれると、ほぼ同時に、同じぐらいの強さで、忘れまいとする心が生まれ、両者せめぎ合って、心の中で波打つ。もちろん、想いが強ければ強いほど、波は大きくなり、ざわめきも騒がしく、心が混乱したまま時間だけが過ぎて行く。
ああ、なんて辛いんだろう、辛かったんだろう。
それは、その場にいて体験しない限り、誰にもわからない。
そう言えば、若い頃のぼくは、自分の想いを証明しようとして、例えば、逢えないか、逢えても5分ぐらいの短い時間かもしれないのに、一晩中車を走らせて、片想いの相手に逢いに行ったりした。
でも、これは、今思えば、これはただの意地っ張りの男の行動だったようにも思える。
片想いとは言え、恋に酔いしれて、自分の想いを宣言したいだけか、おれはここまで好きなんだから、想いに応えてくれよ!というような押し付けな気持ちが見え隠れする。それは、時と場合によるかもしれないけれど、かっこいいことではないと思うし、相手の女性にしてみれば、ただの迷惑なだけの可能性もある。哀しいけれどね。
そんなこと言ってたら、何の手だてもなくなるような気にもなるけれど、恋をするとき、相手に対する思いやりだけは忘れちゃいけないと思っている。
相手が望まないことは、してはいけない。
相手に負担がかかることは、極力避けなければならない。
さて、秋も深まり、これから年末年始の時期が来る。
世間の騒々しさに揺られて、後ろに積まれた残骸が崩れやすくなる季節だ。崩れる度に寂しい思いをするので、なんとかしたいのだが、今、ふと思いついたのは、残骸と猫をテーマに何か作ったらどうだろうか。あ、そこにプラスなんちゃってスピリチュアルも。それで生計まで立てられるとは思わないけれど、何かの形に出来れば、今までの片想いや失恋の経験が、生きてくるのではないか。
そして、何より、ぼくが片想いをした彼女たちが、今まで気にも留めなかった、ぼくの中の何かを、認めてくれるかもしれない。
あ、そうか、恋が実らなくても仕方ないけど、認めてもらいたいって気持ちが、ぼくの中にあったのか。
きっと、自己表現を受けいれてもらいたいのだろうな。
これは、今、気付いた、ちょっとした発見だ。
うん、認められたい。
3次元的なエゴな思いかもしれないけれど、認めてほしい。
そして、何かある度に、ぼくを思い出してほしい、という部分があるのだと思う。
(自分を認められるのは自分だけ、というスピリチュアルの教えはちょっと置いておく。なんてったって、3次元でしか出来ない、恋の話なんだから。)
そんなことを考えながら、3連休の最終日が過ぎて行く。
どんどん、秋が深まっていく。
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