カセットテープの時代

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Photo by taka (7D)

今では、ハードディスクやフラッシュメモリなどに記録する音楽データだが、ぼくが少年の頃は、カセットテープというものに記録していた。記録というよりも、録音と言っていたけれど。

録音とは文字通り、音を記録するやり方そのもので、60分のアルバムを録音する際は、60分間かかっていた。今なら、あっと言う間にメモリに記録されるけれど、当時は気の長い話だったなあと思う。アルバムを10枚も録音しようと思ったら、1日つぶれていたのだから。

しかも、カセットテープには最長120分までしか録音出来なかったから(一部140分というものもあったかも)、録音すればするほどカセットテープがたまり、ちゃんとラベルを付けておかないと、どのテープにどの音楽が入っているのか、探すのも一苦労であった。

なんでいきなりカセットテープの話を書き始めたかというと、今日、ジェフベックというギタリストのワイアードというアルバムを聴いていて、そういえばこのアルバムは、クロームテープで録音したんだっけな、と思いだしたのである。

カセットテープには、その材質により、ノーマルの他、クロームやメタルなど、記録される鉄(の粉)の材質でグレード分けされていた。ノーマルよりもクロームの方が割高なのである。ガソリンのレギュラーとハイオクみたいな感じにちょっと似てる。

クロームは、高音の伸びがよく、ロックなどに向いていると言われていた。反面、全体的にシャリシャリしたような音になる傾向があり、高音のうるささが嫌いと言う人もいたけれど。

実際のところは、録音される側のカセットテープと録音するカセットデッキ(カセットテープレコーダー)の組み合わせにより相性が決まり、一概にどうのこうの言えなかったとは思う。

そんなわけで(どんなわけだ)、当時から聴いている音楽は、音楽を聴くと同時に、その音楽が録音されていたテープのブランド(TDKとかマクセルとか)やグレードを思い出すことが多い。それから、そのテープを録音したときの背景、例えば、友達に録音してもらったとか、彼女に録音してもらったとか、FMで録音したとか。

ワイアードは確か中2ぐらいのときに、NHK-FMの夜の番組で録音したのである。当時のぼくは、1曲目の激しいシンバルで始まるレッドブーツに歓喜したはずだ。(だって今だって歓喜するんだから)

たしか、同じ番組でポールマッカトニーのバンド・オン・ザ・ランも録音している。そうだ、冨田勲さんの月の光も。今思えば、あの頃、録音して何度も何度も聴いた音楽は、今でも聴いている。もうカセットテープはどこかに行ってしまったけれど、CDで買い直して聴いている。この3枚は特に。

ぼくの経験だけで推測すれば、10代に聴いた音楽は、一生の友になるように思う。

ぼくが持っているアルバムは1500枚ぐらいあるけれど、そのうち、10代の頃に聴いていたミュージシャンの割合は、かなり高い。

あの感受性の豊かな時期に出会って、純粋な気持ちで聴いた音楽はずっと残るのだろうな。

カセットテープにまつわる想い出は、思い出せばかなり出てくるような気がする。いつか、この続きを書くかもしれない。


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